ケーススタディー
Flylogix社に提供した革新的通信システムによって、ドローンによる世界中のサービスの根本課題が解決します。これまでのポイントツーポイントの無線コントロールシステムでは、中央制御拠点から目視外(BVLOS)の無人航空機(UAV)を安全に操縦するのは不可能でした。これは、全てを変革する技術です。
ケンブリッジコンサルタンツのチームは、航空宇宙科学、遠距離通信、エネルギー分野の専門能力を応用して、Flylogix社がドローンサービス開発における次の新規領域へ進出する事をサポートしてきました。
Driving large-scale UAV adoption
PwC の予測では、ドローンの利用は英国内だけでも2030年までに最大450億ポンドの市場価値まで広がります。現在の大規模な利用の課題は、目視外飛行の安全性とコストの二点です。そしてこの両方が、技術革新により解決しました。Flylogix社は海洋石油事業及び海洋ガス事業において航空機の利用を始めた先駆者です。今回の中央制御拠点を使用する安全で信頼できる新システムによって、コストが低減し、運用の拡大が加速します。ドローンを飛ばす現場での操縦から移行することで、さまざま産業分野で大幅に運用用途が拡大し、サービスの安定性が向上します。
Safer UAVs with reduced environmental impact
Flylogix 社は従来のポイントツーポイントの無線によるドローン制御システムの問題点を解決し、目視外飛行が可能な遠隔操縦航空機システムを実現しました。これにより、さまざまな分野のサービスにて、高コストで炭素排出量の高い有人の航空機をUAVで置き換えることが現実的になります。有人機をUAVで置き換えることができれば、低炭素社会への移行の一助になります。有人航空機の運用、特にヘリコプターは、さまざまな運用シナリオで厳しい天候条件などから大きなリスクを伴います。ケンブリッジコンサルタンツのサポートにより、Flylogix社は本分野におけるイノベーションを牽引する事が出来ます。
Addressing the drone industry’s most critical challenges
長年の野心が現実に
ケンブリッジコンサルタンツとFlylogix社の協業のケーススタディをご紹介します。ここでは、技術的な難題の解決と創業者の個人的な思いを織り交ぜるながら、長年叶えたかった野心を現実のものにしたストーリーのお話をします。チームがどのように衛星通信技術の能力を利用し、規制要件の厳しい環境下で道筋を定め、地球環境への影響軽減を達成しながら、そしていかに業界を変革しようとしているのかを探ります。まず、現状の概要から確認しておきます。
低レイテンシーで信頼性の高い目視外飛行制御
主な課題は、ドローンの安全かつ効果的な制御に必要な全てのデータを中央操縦拠点にタイムリー且つセキュアな形で提供することでした。軍用の衛星システムはありましたが、高価であり、要件を満たす低コストのソリューションは存在しませんでした。担当チームは低レイテンシーで信頼性の高い制御を実現する制御システムと通信リンクを開発しました。この設計は、革新的なオンボード通信ゲートウェイを使用して、地球低軌道衛星リンクと地上無線局の両方にアクセスします。
Transformative industry innovation
洋上ヘリコプター運用と比較し低コスト
主な課題は、ドローンの安全かつ効果的な制御に必要な全てのデータを中央操縦拠点にタイムリー且つセキュアな形で提供することでした。軍用の衛星システムはありましたが、高価であり、要件を満たす低コストのソリューションは存在しませんでした。担当チームは低レイテンシーで信頼性の高い制御を実現する制御システムと通信リンクを開発しました。この設計は、革新的なオンボード通信ゲートウェイを使用して、地球低軌道衛星リンクと地上無線局の両方にアクセスします。
ビジネスと世界に新しい変革を
ケンブリッジコンサルタンツは、Flylogix社の創業者の1人であるチャールズ タブナー氏と密に連携し信頼性の高いビジネスケースを作り上げ、政府機関Innovate UKからの資金提供を確保しました。チャールズ氏は空を飛ぶことを夢見て育ち、社会や環境に良いことをしたいという思いを持ち続けてきました。彼は次のように述べています。「私たちは無人航空機を利用して世界をより良い場所にしたいのです。」エネルギー産業でのネットゼロ追求やモビリティの将来などを含め、チームも同氏の思いに共感しています。
強みを磨きエネルギー分野における変革を支援
2022年、bp venturesはFlylogix社に300万ポンドを投資し、同社はこれを原資に事業を米国やノルウェイ、トリニダート・トバコなど新しい地域に拡大しました。炭素排出量を低減し、2023年までに現存の全ての主要な原油とガスの生産拠点にメタン計測設備を配備するというBPの目標を達成するために、Flylogix社の技術は重要な役割を果たしています。そしてBPの事業全体でメタン排出量を50%低減できると期待されています。
「インテリジェント通信ゲートウェイ」の実現
最も困難な課題に直面した際のコラボレーション
私たちはFlylogix社のチームの一部として課題解決に取り組み、革新的なアプローチを創出することで、プロジェクト全体のリクスを低減し、目視外飛行の長年の課題を解決できました。安定性が高い接続の確保が運用の鍵となるため、このプロジェクトではいくつものハードルを超えることが必要でした。既存の通信ネットワークの制限、セキュリティの多様な課題、機能実現に必要なSWaP(サイズ、重量、電力)の制約などを、性能を犠牲にすることなく解決しなければなりませんでした。
類を見ない専門技術の組み合わせ
こうした性能要件、セキュリティ、サイズ制限の組み合わせの実現には、無線システム、衛星通信、電子回路設計、高度に最適化された組み込みソフトウェアなど、幅広い技術分野での専門能力をかけ合わせることが必要となります。当社は、技術的に困難でミッションクリティカルなシステム設計における確かな実績をもとに、商用無人航空機分野ではこれまで達成できなかったコストで、すべての要件を満たすソリューションを開発しました。
「インテリジェント通信ゲートウェイ」
当社の役割は「インテリジェント通信ゲートウェイ」の開発でした。これはドローンと中央制御拠点の間を接続する複雑で安定性の高い無線システムです。この特製(業界初)のシステムは、接続手段として衛星通信、LTE、Wi-Fiを利用します。厳しいSWaP要件とコスト要件を満たし、自己干渉を防ぎ、柔軟な設計配置によってドローンの様々な場所に組み込む事が出来ます。さらにドローン上のアンテナの位置も最適化し、これらを全て自社内の電波暗室で試験を実施しました。
イリジウム無線サービスの活用
当社は、世界をカバーする衛星通信のリーダーであるイリジウム社のコアテクノロジーパートナーとしての経験を生かして、インテリジェント通信ゲートウェイに新規の衛星リンクを導入しました。地平線を超えて遠くまで、安全な業務運用が可能となります。また、イリジウムの認証試験もFlylogix社の代行で実施しました。イリジウム社のCertus 100サービスを利用してドローンサービスを構築したのは、世界初のケースとなります。高速なデータレートと低レイテンシーのサービスにより、機体の制御だけでなく、飛行データのテレメトリーや一人称視点が得られる動画の送信も実現可能となります。
厳しい規制要件への対応
Flylogix社が得意としているのは規制要件が厳しい分野です。Flylogix社は、全プロジェクトでイギリス民間航空局の認証取得が必須であり、案件ごとの対応が必要となります。認証取得のためには、使用する技術の確実な概要説明を提出し、完璧な実績を示す必要があります。これらの提出資料の説得力を高めるための支援として、テストデータの独自検証によりシステムが適切に動作していることを実証しました。