2022年の春、当社は、日本のスマートシティおよびスマートシティ技術の現状および将来動向に関する報告書を作成するよう、英国大使館国際通商部(DIT)からの依頼を受けました。同僚の小島威裕との共著で執筆したこの報告書は、ダウンロードしてご覧いただけるようになっています。議論の中心は日本の都市部に置いていますが、ここで得られた知見は、世界中のどのような応用分野でも、スマートインフラに関する複雑さを解き明かそうとするいかなる組織にとっても深い意義があると考えます。
当社のチームは、日本における公共および民間セクターでのスマートシティ/インフラの取り組みを調査しました。その中で特にアプリケーションと技術のトレンドに注目し、英国企業と日本の間の通商、投資、研究開発の潜在的なアプリケーションを特定しようと試みました。DITが目指すのは、英国の企業が日本国内の主要なパートナーとの連携を深め、電気自動車や運送システムから通信ネットワークに至る多様な分野でのスマートシティの発展を加速する開発のエンジンとなることです。
下にスクロールして報告書をお読みいただくと、インテリジェントシティの課題における現状と可能性に関して、包括的な現在の姿を確認いただけます。そしてその中には、建設、不動産、住宅、デジタルコネクティビティ、金融等のサービス、機器メーカーなど業界別の活動概況が掲載されています。
私がここで強調しておきたいのは、ここには世界中のスマートインフラやスマートシティに適用できる共通のテーマが多数存在するということです。公共のインフラのデジタル化の可能性について考えると、必ず相互に競合するような複数の課題に直面するものです。そうした課題は技術的な複雑度や要求のレベルが高く、エコシステムが分断されていることもしばしばです。そのようなデジタルインフラの変革のメリットを利用できるようにするには、どのように全体的環境を整えれば良いでしょうか。
当社は、多分野にわたる専門能力を備えているため、こうした課題に立ち向かうことが可能です。顧客との協業において、技術面、ビジネス面、人間的側面、エコシステムの複雑さなど、多様な要素を読み解きながら対応することが可能で、革新的な次世代のソリューションがどこにあるかを特定できます。
路地網やスマートハイウェイ、港湾、空港などの領域でのイノベーションを取り扱う上でも、スマートグリッドや水道などの社会基盤での差し迫ったデジタル化ニーズに対処する上でも、こうした包括的な捉え方は非常に重要です。
そして、いかなるスマートインフラ・プロジェクトについても、人間的側面の視点は重要です。テクノロジー面およびビジネス面の促進要因の評価と合わせて、ユーザーのニーズ、ユーザー経験の理解、人的要因、行動科学などについての核となる知見を開発の考え方に導入することも同様に重要です。当社のHuman-Machine Understanding (人と機械の相互理解) に関する先駆的な検討は、将来のイノベーションに向けて特別な意味を持っています。人を感情のレベルまで理解したスマートインフラが出現すれば、ビジネス面でも社会面でも多大なインパクトが生じます。
ぜひ 報告書をご一読みください 。そして、この複雑なトピックについてより深く議論をしたい内容がありましたら、どうぞご連絡ください。お待ちしています。
専門家
博士号を取得後、ケンブリッジコンサルタンツでアジア戦略・AI リードを担当し、技術戦略と工学開発の分野で15年の経験を有している。AIのような「ゲーム・チェンジャー」技術のインパクトについての顧客の理解を助けることと、競争環境の中で技術をビジネス応用する強固な戦略開発を専門領域としている。